稀代の虚妄パラダイス小説、エヴゲーニイ・オネーギンを紹介させてくれ

!注意!:このブログは盛大なネタバレを含みます。普通に小説を読みたい方は注意してください。

 

 

 

皆さんの虚妄の源は何ですか?

 

 

漫画、映画、歌詞、純粋な妄想、色々あると思います。

私の場合は小説です。私は小説を読む時、頭の中で好きな俳優やアイドルに演じてもらっています。

それによって、小説の世界も鮮やかになるし、演じてもらった俳優やアイドルのことも一層好きになるという相乗効果があります。虚妄バーストです。

 

 

そして数多ある小説の中でも、特に虚妄向きの小説が存在するのです。

今日はその中でも突出した虚妄パラダイス小説である「エヴゲーニイ・オネーギン」について語らせてください。この感動をどうしても共有したいのです。

ぜひ皆さんの明日からの虚妄にも使って頂ければと思っています。

よろしくお願いします。

 

 

 

Let’s go !!

 

 

「エヴゲーニイ・オネーギン」は、19世紀前半、ロシア帝国の国民的詩人であるプーシキンによって書かれました。チャイコフスキーによってオペラにもなっています。

原文は韻文になっているそうですが、私は岩波文庫から出ている散文に訳されたものをを読みました。韻は踏まれていませんが詩的な文章がひたすら続いていて、大変胸熱です。

慣れていないと少し胃もたれするかもしれませんが、気になった方はぜひ読んでみてください。

 

 

まずはズバリ、小説の内容を全てバラします。

ネタバレが無理な方はまず小説を読むことをおすすめします。

 

 

 

主な登場人物は4人です。

エヴゲーニイ・オネーギン…推定22歳。遺産を相続した貴族の青年。天性のあざとさで幾万の女を泣かせてきた、恋愛偏差値10000のハイパー陽キャ。だが20歳手前くらいで世の中の何もかもに興味を失い、都を離れ田舎の邸宅に引きこもってしまう。冷淡で傲慢な皮肉屋。

ヴラジーミル・レンスキイ…推定18歳。こいつも遺産を相続した貴族の青年。心も顔も綺麗な詩人。田舎に移ったオネーギンのご近所さんで、親友になる。

オリガ・ラーリナ…レンスキイの幼馴染で許嫁。明るくて素朴な美少女。

タチヤーナ・ラーリナ…オリガの姉。オリガほど美人ではないし、友達いなくて本ばかり読んでいる陰キャだが、空想豊かで純粋な少女。

 

 

 

以下がお話の内容です。

 

 

レンスキイは子供の頃からオリガだけを心から愛していて、ことあるごとにオネーギンに彼女のことを話していました。

一度そいつを見てみたくなったオネーギンは、ある日レンスキイに付いてオリガの家へ遊びに行きます。

するとその瞬間、オリガの姉タチヤーナがオネーギンに一目惚れしてしまうのです。

 

胸の苦しさに夜も眠れなくなったタチヤーナは、オネーギンに熱烈な恋文を書きます。

心が荒みきっていたオネーギンですが、その恋文の余りの純粋さに心を打たれ、この娘のことは弄ばないと決めます。

とはいえ、陰キャのタチヤーナに興味はありません。ただ誠実に「自分はあなたの望むような男ではない」ことを説明し、キッパリと振りました。偉いぞオネーギン。

 

後日、何も知らないレンスキイはタチヤーナの誕生日会にオネーギンを連れていきます。

しかしオネーギンはそもそも、こういう社交界のパーティーに嫌気がさして田舎に来たのです。だんだんイライラし始めます。

 

そんな中、オネーギンを前にしたタチヤーナは、取り乱しこそしないもののメンブレを隠しきれません。メンヘラが大嫌いなオネーギンは、そんな彼女の様子を見てイライラが頂点に達しました。

そしてそんなクソパーティーに連れて来やがったレンスキイに腹が立ち、後で嫌がらせをして怒らせてやろうと心に決めます。オネーギン、やっぱ嫌なやつでした。

 

一通り食事が済むと、舞踏会が始まります。

せや、チャンスや!と思ったオネーギンは、みんなの目の前で、レンスキイの許嫁オリガを口説き始めました。

ダンスに誘い、少し踊っては座って面白い話を聞かせ、遂には踊りながら耳元で恋の歌を優しく囁き、片手をぎゅっと握りしめました。エグすぎて草。

 

単純なオリガは普通にやられてしまい、次の曲もオネーギンと踊るわ♡などと言い始めました。

さて、ガチ純愛野郎のレンスキイは大激怒です。部屋を出ていき、そのまま帰宅してしまいました。

 

気が済んだオネーギンが翌朝目を覚ますと、衝撃の手紙が届きました。

それは、レンスキイからの決闘の申し込みでした。

 

予想以上に大変なことになってしまったオネーギンは、全力で後悔し始めます。

しかし時すでに遅し。

貴族のメンツがあるので、決闘を断ることはできません。

 

翌朝、二人は決闘を行います。

オネーギンは後悔していた割に余裕で絶起し遅刻。

銃弾は一発でレンスキイの心臓を撃ち抜き、彼は死んでしまいました。

 

なんて可哀想なレンスキイ。

オネーギンは絶起した割に悔恨と悲しみでいっぱいになり、レンスキイを思い出させる田舎の街を捨て、旅に出ました。

 

その後明るくて単純なオリガはなんやかんやで新しい恋をし、普通に結婚しました。

一方オネーギンのことが忘れられず縁談を断り続けていたタチヤーナは、こいつはダメだとモスクワに連れて行かれます。そこで公爵に見初められ、遂に親の言う通り結婚してしまいました。

 

数年後。

 

旅も面倒になったオネーギンは久しぶりにモスクワに戻ります。

そしてあるパーティーで、見覚えのある顔を発見。

「いやしかし、これが本当にあのタチヤーナなのか!?」

オネーギンは目を疑いました。

 

タチヤーナは公爵夫人として社交界の花となり、あまりに見違えていました。

洗練された服装、毅然とした態度。

彼女は近寄り難いほど美しい完璧な貴婦人になっていたのです。

 

するとウチらのダメ男オネーギンは、とんでもない勢いで彼女に恋をしました。

穴のあくほど彼女を見つめ、影のように彼女の後をついて回ります。

しかしタチヤーナはノーリアクション。狼狽える気配すら見せません。

 

オネーギンは恋煩いでどんどん痩せ細っていきました。

遂に耐えきれなくなり恋文を書きますが、返事はありません。さらに何通か送っても返事はありません。

しびれを切らしてタチヤーナに会いに行きます。

 

しかし彼女から得られたのは、完全な憤怒の表情だけでした。

恋の天才オネーギンは、そこに一片のワンチャンもないことを見て取りました。

彼は病み散らかし、再び引きこもりになりました。可哀想なオネーギン。

 

 

 

…とまあ、そんなお話です!

 

 

とってもロマンチックでドラマチックですね。

そして何より、オネーギンが性癖の塊です。

 

何でも卒なくできるけれど、心にバカでか空虚を抱えている。

人間みんなバカにしてるかと思えば、レンスキイやタチヤーナのような純粋ピーポーに心を惹かれる。

荒んだ冷酷さの裏に、身を滅ぼすほどの情熱を隠し持っている。

 

 

そんな複雑な性格を持ったオネーギンは、本当に様々なアイドルの虚妄に向いているのです。

 

 

例えば、オネーギンのチャラさという側面に注目して、樹に演じてもらうとします。

すると、少女からの純粋な恋文に誠実に対応する樹や、人妻に恋してブッ壊れる樹が見れるわけです。

 

また、オネーギンの中二みのある闇に注目して、きょもに演じてもらうとします。(きょものイメージどないやねん)

すると、メンヘラ女にイラつくきょもや、果てしないあざとさで親友の彼女を口説くきょもが見れるわけです。

 

あえてジェシーにして、普段見れないジェシーのオンパレードにしても良いですね。

中世の貴族の服装もよく似合いそうです。

 

 

とにかく性格が複雑だから、誰で虚妄したとしても、どこかにギャップが生まれるということですね!

 

 

 

さらにこの小説のすごいところは、一見正反対の性格に見える二人の青年が親友になるという、胸熱シンメ展開を内包しているところです。

レンスキイは純粋で感性豊かな青年ですが、愛する女に手を出されれば決闘を申し込む、激しさや勇ましさも持っています。こいつも良いキャラクターですね。

 

オネーギンを樹、レンスキイをきょもに演じてもらえば、正反対だけど親友になる尊いきょもじゅりや、女絡みで仲違いし決闘をする悲しいきょもじゅりが見られます。

 

レンスキイをジェシーにして、J2で並んで舞踏会に現れてもらっても壮観です。

北斗をレンスキイにすれば、不憫な展開が似合ってGOODですね。(北斗をオネーギンにすると普通にイラつくのでやめましょう)

 

 

 

そう、この小説、このようにありとあらゆる組み合わせで虚妄を楽しめるのです!

奥深い、これは相当奥深いですよ!

 

 

 

さあ皆さん、どうでしたか?

あなたなら誰をオネーギン、誰をレンスキイにしますか?

是非いろんな組み合わせで妄想してみてください!

 

 

以上です。ご精読ありがとうございました。